食後の歯みがき

食後の歯みがき

食後の歯みがきについて、これまで保育園や幼稚園、学校では昼食後にはなるべく早く歯みがきをしてから遊びましょうと指導してきています。その理由は、虫歯をつくる細菌が多量に含まれる歯垢と食後の口の中に残留する糖質を早く取り除くためです。

ですが、最近食後すぐに歯を磨くと歯が溶けてしまうという報道がテレビなどであったそうです。

 

この報道のもとになったのは、虫歯とは異なる”酸蝕症”の実験による見解になります。酸蝕症とは、強い酸の飲食物によって、歯の表面が徐々に溶け出してしまう疾患です。酸蝕症の実験では、象牙質が用いられたそうですが、歯の表面は酸に対する抵抗力がより高いエナメル質に覆われているので、酸の浸透は象牙質よりエナメル質のほうがずっと少なく、唾液が酸を中和する働きがあり、酸性飲料の頻繁な摂取がない限りすぐには歯が溶けないように防御機能が働いているので、一般的な食事では酸蝕症は起こりにくいと考えられます。

小児における歯みがきの目的は、歯垢の除去すなわち酸を生産する細菌を取り除くとともにその原料となる糖質を取り除くことです。歯みがきをしないままでいると、歯垢の中の細菌によって糖質が分解され酸が産生されて、歯が溶けだす脱灰が始まります。このように、歯垢中の細菌が作る酸が歯を脱灰してできる虫歯と、酸性の飲食物が直接歯を溶かす酸蝕症とは成り立ちがちがうものになります。

結論は、通常の食事の時は早めに歯みがきをして歯垢とその中の細菌を取り除いて脱灰を防ぐことの方が重要です。